植物は環境次第で育ち、花を咲かせ、実がなります。脳神経は植物のように育む必要があります。
日々の生活の中でヒントにして頂ければと思い、私自身の取り組み方などを綴っています。 

2025年6月

受け身の形で考える

 

梅雨に入り、雨模様の日が多く憂鬱になり易いと思いますが、私は、六月は十月に次いで好きな月です。六月の雨は十月の収穫につながる恵みの雨なので、雨の日は潤いを感じるのか、なぜか落ち着きます。じっくり物事に取り組めます。受験生は基礎固めの月になります。雨がテーマのいい音楽もたくさんあります。

 

 さて、落ち着く心をどうやって作ったらいいのでしょうか、という質問を受けることがありますので、私の方法を少しお話しします。環境を整えるなどの外部要素は必要ですが、内的な要素が大事になります。拙著の「ストレスマネジメント」にもいくつか書いていますが、本には書いていないことの一つに、受け身形で考える、というものがあります。

 

手術が終わったら、必ず手術所見を書きますが、主に英語で記載します。その際に文章は、ほぼ受け身形で書きます。切開しました、摘出しました、ではなく、その組織が切開されました、腫瘍が摘出されましたなどです。つまり、主語は自分ではなく、対象物です。そうすると、その対象物の全体の様子がしっかり掴めて、客観的思考行動ができます。実際の手術は術者が行う能動的なものですが、そこにあるものが処理されていく感覚で行うと余分な感情が消されて集中できます。これを日常のいろいろな場面で用います。

 

 主語は取り組む相手です。料理も、運動も、勉強も、芸術鑑賞も、対人関係も受け身形です。包丁が動かされ、食材が調理される。肩が回されてボールが投げられる。計算がされて、問題が解かれていく、音楽や絵画が耳や目で鑑賞される、人が何かに影響されている、などです。好き嫌いで捉えません。すると、大脳の働きが有意となり、感情が抑えられ、冷静になります。脳内物質が程よく安定していくのが感じられます。心が乱れそうな時にはとても役立ちます。

 

 六月の雨はこころを落ち着かせるための外部環境としても、とてもいいのです。

 

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